概要

キッチンは注文住宅の設備の中でも最も選択肢が多く、費用の幅も大きい設備です。レイアウト(配置)、設備のグレード、オプションの組み合わせによって、使い勝手も費用も大きく変わります。

この記事では、キッチンのレイアウトの種類高さの選び方設備グレード主なオプションを整理します。間取りの用語集と合わせてご覧ください。

レイアウトの種類と特徴

キッチンのレイアウトは大きく6つのタイプに分かれます。

I型キッチン

シンク・コンロ・作業スペースを一列に並べたレイアウトです。壁付けが基本で、最も省スペースかつコストを抑えやすい形です。

項目内容
間口の目安2,100〜2,700mm
メリット省スペース、コストが低い、動線がシンプル
デメリット作業スペースが限られる、収納が少なくなりがち

Ⅱ型キッチン(セパレート型)

シンクとコンロを向かい合わせの2列に分けたレイアウトです。作業スペースが広く取れ、複数人での調理にも向いています。

項目内容
間口の目安各列1,800〜2,400mm
メリット作業スペースが広い、収納が多い
デメリット振り向き動作が増える、水はねに注意

L型キッチン

L字に配置するレイアウトです。シンクとコンロの距離が近く、動線が三角形(ワークトライアングル)になるため効率的です。

項目内容
間口の目安各辺1,650〜2,700mm
メリット動線が短い、作業スペースが広い
デメリットコーナー部分がデッドスペースになりやすい、設置面積が大きい

U型キッチン(コの字型)

3面を使ったレイアウトです。作業スペースと収納が最も充実しますが、広いスペースが必要です。

項目内容
間口の目安奥行1,800mm以上 × 幅2,400mm以上
メリット作業スペース・収納が豊富
デメリット広いスペースが必要、コーナーが2箇所発生

対面型キッチン(ペニンシュラ型)

キッチンの片側が壁に接し、もう一方がリビング・ダイニングに向くレイアウトです。現在の注文住宅で最も多く採用されている形です※1。

項目内容
間口の目安2,400〜2,700mm
メリットLDに向かって調理でき、家族とコミュニケーションしやすい
デメリット油はね・匂いがLDに広がりやすい

アイランド型キッチン

壁に接せず、島(アイランド)のように独立して配置するレイアウトです。開放感が最大の魅力ですが、設置にはキッチンスペースに十分な広さが必要です。

項目内容
間口の目安2,400〜2,700mm(周囲に通路幅800mm以上)
メリット開放感が高い、回遊できる動線
デメリット広いスペースが必要、散らかりが見えやすい、コストが高い

レイアウト比較まとめ

レイアウト設置面積開放感収納力
I型
Ⅱ型
L型中〜大
U型
対面型
アイランド型

キッチンの高さの選び方

キッチンのワークトップ(天板)の高さは、使う人の身長に合わせて選びます。高さが合わないと腰痛や肩こりの原因になります。

高さの目安

一般的な計算式は以下の通りです※2。

ワークトップの高さ(mm) = 身長(cm) ÷ 2 + 5(cm)
身長推奨高さ
150cm800mm
155cm825mm
160cm850mm
165cm875mm
170cm900mm

標準的なキッチンの高さは850mmです。メーカーによって800mm、850mm、900mmの3段階、または25mm刻みで選べます。

ショールームで実際に立って作業姿勢を確認する方法もあります。自宅では靴を履かないため、靴を脱いだ状態で確認するのが正確です。

設備グレード

システムキッチンはグレードによって仕様が異なります。

グレード特徴
普及品基本的な機能を備えたシンプルな仕様
中級品素材やデザインの選択肢が増え、使い勝手が向上
高級品天板・扉材の素材が高品質、機能が充実

ワークトップ(天板)の素材

素材特徴価格帯
ステンレス耐熱性・耐久性が高い。業務用キッチンにも使われる低〜中
人工大理石デザイン性が高く色柄が豊富。熱いものを直置きすると変色の可能性
セラミック硬度が高く傷がつきにくい。熱にも強い
天然石(御影石等)高級感がある。重量がある

主なオプション

食洗機

種類特徴
浅型(ミドルタイプ)標準的なサイズ。約5人分の食器が入る
深型(ディープタイプ)鍋やフライパンも入る。4〜6人家族向け
フロントオープン型上下2段のカゴで大容量。海外メーカーに多い

食洗機は後付けが難しいため、新築時に設置するか、設置スペースと配管だけ確保しておくかを事前に判断する必要があります。

コンロ:IHとガスの比較

項目IHガス
火力の調整数値で細かく制御できる火を見て直感的に調整
掃除のしやすさフラットで拭きやすい五徳の掃除が必要
安全性炎がなく安全性が高い火を使うため注意が必要
使える調理器具IH対応品のみ制限なし
停電時使用不可使用可能(電池着火式の場合)

オール電化の場合はIHが必須です。ガスを引く場合は、都市ガスとLPガスでランニングコストが異なる点にも注意してください。

その他のオプション

オプション備考
浄水器一体型水栓カートリッジの定期交換が必要
タッチレス水栓センサーで吐水・止水を操作する水栓
レンジフード(上位機種)自動洗浄機能付きなど
カップボード(食器棚)キッチンと統一デザインにする場合はメーカー品を選ぶ

キッチン計画の注意点

収納量の見積もりが甘い

家電(電子レンジ、トースター、炊飯器等)やゴミ箱の置き場所を見落とすケースが多いです。カップボードの設計時には、置く家電のサイズとコンセント位置の確認が必要です。電気設計のコンセント計画も参考になります。

ワークトライアングルを意識していない

シンク・コンロ・冷蔵庫を結ぶ三角形(ワークトライアングル)の合計が3,600〜6,600mmに収まると効率的な動線になるとされています※3。冷蔵庫の配置はレイアウト決定時に見落とされやすい要素です。

出典

  1. リクルート「2024年 注文住宅動向・トレンド調査」 https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20241224_housing_01.pdf
  2. 日本工業規格 JIS A 0017:1989「キッチン設備の寸法」を基にした一般的な目安
  3. LIXIL「キッチンレイアウトの基本」— ワークトライアングル3辺の合計360〜660cmが目安 https://www.lixil.co.jp/lineup/kitchen/hint/layout/