概要
施主検査と補修が完了したら、いよいよ建物の引き渡しです。引き渡し当日には鍵の受領だけでなく、重要な書類の受け取りと最終確認があります。また、入居前後にはさまざまな届出・手続きが必要です。
この記事では、引き渡し当日の流れ、受け取るべき書類、入居に伴う届出をまとめます。施主検査(竣工検査)のやり方で指摘した事項がすべて是正されていることを確認してから、引き渡しに臨んでください。
引き渡し当日の流れ
引き渡し当日は、一般的に以下の手順で進みます。所要時間は2〜3時間程度です。
1. 最終確認
施主検査で指摘した補修事項が完了しているか、最終確認を行います。事前に受け取った指摘事項一覧表と照らし合わせて、すべてが是正されていることを確かめてください。
2. 設備の取扱い説明
建築会社の担当者から、住宅設備の使い方について説明を受けます。
| 説明を受ける設備 | 主な内容 |
|---|---|
| 給湯器 | 操作方法、凍結防止の設定 |
| キッチン | IH/ガスコンロの操作、食洗機の使い方、レンジフードのフィルター清掃 |
| 浴室 | 浴室乾燥機の操作、排水口の清掃方法 |
| 24時間換気 | フィルター交換の方法と頻度 |
| 分電盤 | ブレーカーの見方、漏電遮断器のテスト方法 |
| 床下点検口・天井点検口 | 開閉方法、点検の頻度 |
| アフターサービスの連絡先 | 故障時・緊急時の連絡先 |
メモを取るか、説明の様子を動画で撮影しておくことをおすすめします。
3. 書類の受け取り
引き渡し時に受け取るべき書類は多岐にわたります。
| 書類 | 内容 | 重要度 |
|---|---|---|
| 確認済証 | 建築確認申請が認められた証明※1 | 必須 |
| 検査済証 | 完了検査に合格した証明※1 | 必須 |
| 建物の保証書 | 構造・防水等の保証内容と期間 | 必須 |
| 住宅瑕疵担保責任保険の証書 | 保険法人が発行する保険付保証明書※2 | 必須 |
| 設備の取扱説明書 | キッチン、浴室、給湯器、換気設備等 | 必須 |
| 設備の保証書 | 各設備メーカーの保証書(保証期間は1〜2年が一般的) | 必須 |
| 竣工図面 | 実際に建てた建物の最終図面(設計変更を反映) | 重要 |
| 地盤調査報告書 | 地盤調査の結果と地盤改良の内容 | 重要 |
| 各種検査報告書 | 配筋検査、中間検査等の記録 | 重要 |
| 工事写真 | 工事中の記録写真 | 重要 |
| 住宅性能評価書 | 住宅性能表示制度を利用した場合 | 該当時 |
4. 鍵の受領
すべての確認と書類の受け取りが完了したら、鍵を受け取ります。
- 玄関の鍵: 通常、工事中のシリンダーから本キーに交換済み。本キーを受け取った時点で工事用の鍵は使えなくなります
- 勝手口・その他の鍵: 勝手口やバルコニーの鍵がある場合はそれぞれ受け取る
- スペアキー: 本数を確認する
5. 引き渡し書類への署名
引き渡し完了を確認する書類(引渡確認書等)に署名します。この署名をもって、建物の所有権と管理責任が施主に移転します。
受け取った書類の保管
引き渡し時に受け取った書類は、以下の理由から長期間保管する必要があります。
- 保証の適用: 不具合が発生した際に保証を受けるために必要
- 不動産登記: 表題登記の際に検査済証等が必要
- 確定申告: 住宅ローン控除の確定申告に工事請負契約書の写しが必要
- 売却時: 将来売却する際に、検査済証や保証書があると有利
- リフォーム時: 図面や構造の情報が役立つ
ファイルボックスなどにまとめて保管し、家族にも保管場所を共有しておきましょう。
入居に伴う届出・手続き
引っ越し前にやること
| 手続き | 届出先 | 期限・タイミング |
|---|---|---|
| 転出届 | 旧住所の市区町村役場 | 引っ越しの14日前から当日まで |
| 郵便物の転送届 | 郵便局(またはオンライン) | 引っ越しの1〜2週間前 |
| 電気の開通 | 電力会社 | 引っ越しの1〜2週間前 |
| ガスの開栓 | ガス会社 | 引っ越しの1〜2週間前(立ち会いが必要) |
| 水道の開栓 | 水道局 | 引っ越しの1〜2週間前 |
| インターネット回線の工事 | 通信事業者 | 引っ越しの2〜4週間前(工事日の予約が必要) |
引っ越し後にやること
| 手続き | 届出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 転入届 | 新住所の市区町村役場 | 引っ越しから14日以内※3 |
| マイナンバーカードの住所変更 | 新住所の市区町村役場 | 転入届と同時 |
| 運転免許証の住所変更 | 警察署・運転免許センター | できるだけ早く |
| 車庫証明の変更 | 警察署 | 変更から15日以内 |
| 車検証の住所変更 | 運輸支局 | 変更から15日以内 |
| 銀行口座の住所変更 | 各金融機関 | できるだけ早く |
| クレジットカードの住所変更 | 各カード会社 | できるだけ早く |
| 保険(生命保険・医療保険等) | 各保険会社 | できるだけ早く |
| 勤務先への届出 | 勤務先 | できるだけ早く |
子どもがいる場合の追加手続き
| 手続き | 届出先 | 備考 |
|---|---|---|
| 転校手続き | 旧・新の学校、教育委員会 | 転出前に旧学校に相談 |
| 児童手当の住所変更 | 新住所の市区町村役場 | 転入届と同時が望ましい |
| 医療費助成(乳幼児医療等) | 新住所の市区町村役場 | 自治体により制度が異なる |
| 保育園・幼稚園の転園手続き | 各施設、市区町村役場 | 空き状況による |
住宅に関連する手続き
入居後に必要な住宅固有の手続きもあります。
| 手続き | 時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 建物の表題登記 | 完成後1ヶ月以内(法定義務)※4 | 土地家屋調査士に依頼。もしくは自分でも対応可能です。詳しくは不動産登記の基礎知識を参照 |
| 所有権保存登記 | 表題登記後 | 司法書士に依頼 |
| 抵当権設定登記 | 融資実行時 | 金融機関が手配する司法書士が行う |
| 火災保険・地震保険の加入 | 引き渡しまで | 融資実行の条件になることが多い |
| 住宅ローン控除の確定申告 | 入居翌年の2〜3月 | 詳しくは住宅ローン控除の確定申告を参照 |
| 不動産取得税の軽減申告 | 取得後60日以内(都道府県による) | 住宅用家屋の軽減措置を受けるため |
引き渡し後のアフターサービス
定期点検
多くの建築会社では、引き渡し後に定期点検を実施します。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 3ヶ月(または6ヶ月) | クロスの隙間、建具の調整、設備の動作確認 |
| 1年 | 上記に加え、外壁・基礎の確認 |
| 2年 | 設備保証期間の最終確認 |
| 5年 | 防蟻保証の確認(該当する場合) |
| 10年 | 品確法の瑕疵担保期間の満了前確認 |
定期点検の時期と内容は建築会社によって異なります。引き渡し時に点検スケジュールを確認しておきましょう。
不具合が見つかった場合
入居後に不具合を発見した場合は、速やかに建築会社のアフターサービス窓口に連絡してください。不具合の内容と発見時期を記録しておくことが、保証適用の判断材料になります。
出典
- 建築基準法 第6条(確認済証)、第7条(検査済証) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
- 住宅瑕疵担保履行法 第3条 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000066
- 住民基本台帳法 第22条(転入届) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000081
- 不動産登記法 第47条(建物の表題登記の申請)— 新築建物の所有者は1ヶ月以内に表題登記を申請しなければならない https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123
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