概要
間取り図には「LDK」「WIC」「GL」など、日常では使わない略語や記号が多数登場します。図面を正しく読み取るには、これらの意味を知っておくことが不可欠です。
この記事では、間取り図でよく使われる部屋・空間の略称、面積の単位と換算、図面記号の3つに分けて整理します。打ち合わせや図面チェックの際にお役立てください。
部屋・空間の略称
間取り図に登場する主な略称と意味は以下の通りです。
基本の部屋表記
| 略称 | 正式名称 | 意味 |
|---|---|---|
| L | Living | リビング(居間) |
| D | Dining | ダイニング(食事室) |
| K | Kitchen | キッチン(台所) |
| LDK | Living Dining Kitchen | リビング・ダイニング・キッチンが一体の空間 |
| DK | Dining Kitchen | ダイニング・キッチンが一体の空間 |
| S | Service room | サービスルーム(納戸)。建築基準法上の居室の要件(採光・換気)を満たさない部屋※1 |
| R | Room | 1Rのように使い、ワンルームを表す |
「3LDK」は「3つの居室+LDK」を意味します。Sが付く「3LDK+S」は、居室3つとLDKに加えて納戸が1つある間取りです。
nLDK表記の成り立ち
「3LDK」「2DK」のように部屋数と空間構成を組み合わせた表記は日本独自のもので、戦後の住宅政策の中で生まれました。
食寝分離とDKの誕生
戦前の日本の住宅では、ちゃぶ台を出して食事をし、片付けて布団を敷くという「食寝転用」が一般的でした。京都大学の建築学者・西山夘三(にしやま うぞう)は1942年に庶民の住まい方を実地調査し、食事空間と就寝空間を分離すべきとする「食寝分離」の理論を提唱しました※4。
この理論を具体化したのが、1951年に策定された公営住宅標準設計51C型です。東京大学の吉武泰水助教授の研究室に所属していた鈴木成文が、約12坪(約40㎡)の限られた面積で食寝分離を実現するために、台所と食事室を一体化する設計を考案しました※4。これが**ダイニングキッチン(DK)**の原型です。
公団住宅による普及
1955年に設立された日本住宅公団(現UR都市機構)は、51C型を発展させた住宅を全国で大量に建設しました。1956年に完成した公団第一号の金岡団地(大阪府堺市、全900戸)はすべて2DKで、ステンレス流し台や洋式便器など当時最先端の設備が導入されました※5。「ダイニングキッチン」という言葉は公団住宅を通じて広まり、DKのある住まいは「団地族」と呼ばれるほど憧れの対象となりました。
DKからLDKへ
高度経済成長に伴い生活水準が向上すると、食事・調理の空間(DK)にくつろぎの機能(L=リビング)を加えた「LDK」が求められるようになりました。間取り図に「LDK」の表記が初めて確認できるのは、1964年竣工の芝白金団地(東京都港区)の分譲住宅です。1970年代には3LDKが標準的な間取りとして定着しました。
DK・LDKの面積基準
現在、不動産広告でDK・LDKと表示するには、不動産公正取引協議会が定めた面積基準を満たす必要があります※6。
| 居室数 | DKの最低面積 | LDKの最低面積 |
|---|---|---|
| 1部屋 | 4.5畳以上 | 8畳以上 |
| 2部屋以上 | 6畳以上 | 10畳以上 |
収納・付帯空間
| 略称 | 正式名称 | 意味 |
|---|---|---|
| WIC / WCL | Walk-in Closet | ウォークインクローゼット。歩いて入れる広さの収納 |
| SIC / SCL | Shoes-in Closet | シューズインクローゼット(シューズクローク)。靴を履いたまま入れる玄関収納 |
| PS | Pipe Space | パイプスペース。給排水管などの配管が通るスペース |
| MB | Meter Box | メーターボックス。電気・ガス・水道のメーターを収めるスペース |
| UB | Unit Bath | ユニットバス |
注文住宅でよく登場する空間
| 名称 | 意味 |
|---|---|
| パントリー | キッチン横の食品庫・収納スペース。キッチンの種類と設備も合わせてご覧ください |
| ヌック | 小さなこもれるスペース。読書コーナーやベンチスペースなど |
| ユーティリティ | 家事スペース。洗濯・アイロンがけなどに使う空間 |
| 土間 | 靴を脱がずに使える床が低い空間。玄関土間を広くとる間取りが近年増えています |
| ドライエリア | 地下室の壁面に設ける空堀り。採光・換気のために設置 |
| 吹き抜け | 1階から2階にかけて床を設けない開放的な空間 |
| スキップフロア | 半階ずらした中間的な高さのフロア |
| ロフト | 天井高1.4m以下の小屋裏収納。建築基準法上の階数に含まれません※2 |
面積の単位と換算
基本の換算
間取り図や不動産情報では、主に「㎡(平米)」「畳(帖)」「坪」の3つの単位が使われます。
| 単位 | 換算 |
|---|---|
| 1畳(帖) | 1.62㎡(不動産公正取引協議会の基準)※3 |
| 1坪 | 約3.31㎡(2畳分) |
㎡ → 畳: ㎡ ÷ 1.62
㎡ → 坪: ㎡ ÷ 3.31
坪 → ㎡: 坪 × 3.31
よく使うサイズ感
| 表記 | 面積(㎡) | イメージ |
|---|---|---|
| 6畳 | 約9.7㎡ | 一般的な洋室 |
| 8畳 | 約13.0㎡ | 主寝室として多いサイズ |
| 16畳 | 約25.9㎡ | LDKとしては標準的 |
| 20畳 | 約32.4㎡ | ゆとりあるLDK |
| 30坪 | 約99.2㎡ | 3〜4LDKの延床面積の目安 |
| 35坪 | 約115.8㎡ | 4LDK+αの延床面積の目安 |
畳のサイズは地域で異なる
「1畳」の実際の大きさは畳の規格によって異なります。
| 規格 | サイズ | 主な地域 |
|---|---|---|
| 京間(本間) | 191cm × 95.5cm(約1.82㎡) | 関西・西日本 |
| 中京間 | 182cm × 91cm(約1.66㎡) | 中部 |
| 江戸間(関東間) | 176cm × 88cm(約1.55㎡) | 関東・東日本 |
| 団地間 | 170cm × 85cm(約1.45㎡) | 集合住宅 |
不動産広告では「1畳=1.62㎡以上」と定められているため※3、広告上の面積と実際の畳数が合わないことがあります。間取り図では**㎡表示を確認する**のが確実です。
図面記号の読み方
高さに関する記号
図面には建物の各部の高さを示す記号が使われます。
| 記号 | 正式名称 | 意味 |
|---|---|---|
| GL | Ground Level / Ground Line | 地盤面の高さ。建物の高さの基準点 |
| FL | Floor Level / Floor Line | 各階の床面の高さ |
| 1FL / 2FL | 1st Floor Level / 2nd Floor Level | 1階・2階の床面の高さ |
| CH | Ceiling Height | 天井高。床面から天井面までの高さ |
| SL | Slab Level | スラブ(コンクリート床版)の上面の高さ |
| DL | Design Level | 設計上の基準高さ |
たとえば「1FL=GL+450」は「1階の床面が地盤面より450mm高い」という意味です。
開口部の記号
ドアや窓の表記は以下のルールに従います。
| 記号・表記 | 意味 |
|---|---|
| 片開き戸 | 1/4円の弧で開く方向を表示 |
| 両開き戸 | 2つの弧で表示 |
| 引き戸 | 2本の平行線で表示 |
| 引き違い窓 | 2本の平行線(窓記号) |
| FIX窓 | ×印で表示(はめ殺し窓。開閉不可) |
階段の表記
階段は図面上で矢印付きの三角形や段数で表記されます。
- UP(上り): 矢印が上階に向かっている
- DN(下り): 矢印が下階に向かっている
- 段数が数字で記入されている場合は、その階での段数を表します
方位記号
図面には必ず**方位記号(北を示す矢印)**が記載されています。方位記号がないと、日当たりや隣地との関係を正しく把握できません。
- 矢印の先が**北(N)**を指します
- 一般的に、図面の上が北とは限りません。必ず方位記号を確認してください
その他よく使われる記号
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| DP | ダウンパイプ(雨樋の竪樋) |
| AC | エアコン設置位置 |
| RF | 冷蔵庫置き場 |
| W | 洗濯機置き場 |
| R | 冷蔵庫置き場(RFと同義で使われることがある) |
図面を読むときのポイント
寸法の単位はmmが基本
建築図面の寸法は**ミリメートル(mm)**が基本です。「3,640」と書いてあれば3,640mm(=3.64m)です。「3.6m」のようにメートルで書かれることはほとんどありません。
縮尺を確認する
間取り図には必ず縮尺が記載されています。
| 用途 | 一般的な縮尺 |
|---|---|
| 平面図(間取り図) | 1/50 または 1/100 |
| 配置図 | 1/100 または 1/200 |
| 詳細図 | 1/20 または 1/30 |
壁の厚みに注目する
図面上の壁の太さは実際の壁厚を反映しています。外壁は断熱材を含むため150〜200mm程度の厚みになり、内壁は100〜130mm程度です。壁の厚みによって実際の室内の広さは図面の印象と異なることがあります。
出典
- 建築基準法 第28条(居室の採光及び換気) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
- 建築基準法施行令 第2条第1項第8号(階の定義) https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
- 不動産公正取引協議会「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第11条第18号 https://www.rftc.jp/kiyak/hyouji_sekou.html
- artscape 現代美術用語辞典「51C」— 西山夘三の食寝分離論、51C型の設計経緯、DK概念の誕生について https://artscape.jp/artword/7093/
- UR都市機構「公団誕生70年」— 日本住宅公団の設立経緯、金岡団地の概要 https://www.ur-net.go.jp/aboutus/publication/web-urpress82/kodan_tanjo70_1.html
- 首都圏不動産公正取引協議会「特定用語の使用基準」— DK・LDKの最低必要面積の基準 https://www.sfkoutori.or.jp/jireikoukoku/tokuteiyougo-shiyokijun/
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