概要

新築住宅を取得すると、法律に基づく保証と建築会社独自の保証の、2種類の保証が受けられます。法律上は、構造と防水に関する10年間の瑕疵担保責任が最低限保証されていますが、それ以外の保証範囲は建築会社によって大きく異なります。

この記事では、品確法による10年保証、住宅瑕疵担保履行法の仕組み、延長保証制度の注意点、アフターサービス基準について整理します。引き渡しの流れと届出で受け取る保証書の確認ポイントも合わせて解説します。

品確法による10年間の瑕疵担保責任

制度の内容

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第94条・第95条により、新築住宅の売主・施工者は、以下の部分について引き渡しから10年間の瑕疵担保責任を負います※1。

保証対象具体的な部位
構造耐力上主要な部分基礎、壁、柱、梁、小屋組、土台、斜材(筋かい等)、床版、屋根版
雨水の浸入を防止する部分屋根、外壁、開口部(窓・ドア)に設ける戸、雨水を排除するための設備

瑕疵担保責任とは

「瑕疵」とは、建物の品質や性能が契約で定められた水準に達していないことです。上記の部分に瑕疵があった場合、施主は建築会社に対して以下を請求できます。

  • 修補請求: 瑕疵の補修を求める
  • 損害賠償請求: 瑕疵によって生じた損害の賠償を求める

この10年間の瑕疵担保責任は強行規定であり、契約で短縮したり免除したりすることはできません※1。「保証は5年まで」のような契約条項があっても、品確法の対象部分については無効です。

対象外の部位

品確法の10年保証は、構造と防水に限定されています。以下は対象外です。

対象外の部位
内装クロスの剥がれ、フローリングの傷
設備キッチン、浴室、給湯器の故障
建具ドアの開閉不良、窓のパッキン劣化
外構フェンスの錆、駐車場のひび割れ

これらは建築会社独自のアフターサービスや設備メーカーの保証で対応します。

住宅瑕疵担保履行法

制度の目的

品確法で10年保証が義務付けられていても、建築会社が倒産してしまうと保証を履行できません。これを防ぐため、住宅瑕疵担保履行法(2009年施行)により、建築会社は保険への加入または保証金の供託のいずれかが義務付けられています※2。

資力確保措置内容
保険国土交通大臣が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人の保険に加入
供託法務局に保証金を供託

保険の仕組み

住宅瑕疵担保責任保険に加入している場合、以下のように保証が機能します。

状況対応
建築会社が存続している建築会社に修補を請求。保険金は建築会社に支払われる
建築会社が倒産した施主が直接保険法人に保険金を請求できる

保険金の上限は一般的に2,000万円です。保険に加入しているかどうかは、引き渡し時に受け取る保険付保証明書で確認できます。

指定保険法人

国土交通大臣が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人は以下の通りです(2026年3月時点)※3。

  • 住宅保証機構株式会社
  • 株式会社住宅あんしん保証
  • 株式会社日本住宅保証検査機構(JIO)
  • ハウスプラス住宅保証株式会社
  • 株式会社ハウスジーメン

延長保証制度

仕組み

多くのハウスメーカーは、品確法の10年保証に加えて、独自の延長保証制度を設けています。10年目の有償メンテナンス工事を実施することを条件に、保証期間を20年・30年、場合によっては60年に延長するものです。

ハウスメーカーの例初期保証延長後の最長保証延長条件
一般的なパターンA10年20年10年目の有償メンテナンス実施
一般的なパターンB10年30年10年・20年目の有償メンテナンス実施
一般的なパターンC30年(初期保証を長期設定)60年定期的な有償メンテナンス実施

延長保証の注意点

延長保証は一見手厚く見えますが、以下の点に注意が必要です。

有償メンテナンスの費用が高い場合がある

延長保証の条件となる有償メンテナンスは、建築会社が実施します。このメンテナンスの見積もりが外部の専門業者に比べて割高になる場合があります。

比較ハウスメーカーの見積もり外部業者の見積もり
外壁塗装+シーリング打ち替え150〜250万円80〜150万円
防蟻処理15〜25万円10〜15万円

ただし、ハウスメーカーのメンテナンスは自社の建材に最適な施工方法で行うため、品質の面では一定の安心感があります。費用と品質のバランスを考えて判断してください。

保証の対象範囲を確認する

延長保証の対象範囲は建築会社によって異なります。品確法の10年保証と同じく「構造と防水のみ」の場合と、設備や内装まで含む場合があります。延長保証の契約書をよく確認してください。

延長しないと保証が切れるわけではない

有償メンテナンスを断っても、品確法の10年保証はそのまま有効です。延長保証は「品確法の10年を超えた期間」について追加で保証する仕組みです。10年目のメンテナンスを他社に依頼した場合、延長保証は受けられなくなりますが、10年間の法定保証には影響しません

メンテナンスの必要性自体は変わらない

延長保証の有無にかかわらず、外壁塗装や防蟻処理などのメンテナンスは住宅の維持のために必要です。「保証を延長するためにメンテナンスをする」のではなく、「メンテナンスは必要であり、ついでに保証も延長される」と考えるのが健全です。詳しくはメンテナンス計画の立て方をご覧ください。

アフターサービス基準

アフターサービス基準とは

品確法の対象外の部位(内装、設備、建具等)について、建築会社が独自に定めるサービス基準です。一般的な保証期間は以下の通りです。

部位一般的な保証期間
構造躯体10年(品確法)※1
防水10年(品確法)※1
外装(塗装・シーリング等)2〜5年
内装(クロス、フローリング等)1〜2年
建具(ドア、窓等)2年
設備(キッチン、浴室等)1〜2年
電気設備1〜2年
給排水設備2〜5年

設備メーカーの保証

キッチン、浴室、トイレ、給湯器などの住宅設備には、各メーカーの保証が別途付いています。

設備一般的な保証期間延長保証の有無
システムキッチン1〜2年メーカーにより5〜10年の延長保証あり(有料)
ユニットバス1〜2年同上
トイレ1〜2年同上
給湯器1〜3年メーカーにより5〜10年の延長保証あり(有料)
エアコン1年販売店の延長保証が主流

設備メーカーの延長保証は、故障時の修理費用と比較して検討してください。給湯器のように交換費用が高額な設備は、延長保証に加入する価値があります。

保証書の確認ポイント

引き渡し時に受け取る保証書について、以下の点を確認してください。

確認ポイント内容
保証対象の範囲具体的にどの部位が対象か
保証期間各部位の保証期間
保証の条件定期点検の受検が条件か、有償メンテナンスが条件か
免責事項保証の対象外となるケース(自然災害、施主の不適切な使用等)
保証の引き継ぎ建物を売却した場合、保証は次の所有者に引き継がれるか
連絡先保証に関する問い合わせ先、緊急時の連絡先
瑕疵担保責任保険保険付保証明書の有無、保険法人名、保険証券番号

保証書を紛失しないために

保証書は住宅の寿命(30〜50年以上)にわたって保管が必要です。

  • 紙の保証書は防水・耐火の書類ケースに保管
  • スキャンしてデジタルコピーも作成
  • 保管場所を家族で共有

よくある誤解

「保証期間内なら何でも無料で直してもらえる」

保証の対象は、通常の使用をしていて発生した**瑕疵(欠陥)**に限られます。経年劣化、自然災害、施主や入居者の行為に起因する不具合は保証対象外であることが一般的です。

「10年保証があるから10年間は安心」

品確法の10年保証の対象は構造と防水のみです。内装や設備の不具合は、品確法の保証対象外です。保証書で各部位の保証期間を個別に確認してください。

「保証が長い会社ほど安心」

保証期間の長さよりも、保証の内容(対象範囲、条件、免責事項)と会社の信頼性(実績、財務状況、アフターサービス体制)のほうが重要です。保証期間が長くても、会社が倒産すれば保証は実質的に消滅します(瑕疵担保責任保険でカバーされる範囲を除く)。

出典

  1. 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第94条・第95条 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000081
  2. 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)第3条 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000066
  3. 国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険法人」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000016.html